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Don't ウォーリー
心配ないさぁーーー♪

という訳で今週は絶好調のアニメ特集だい。

第81回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞したCGアニメーション『ウォーリー』と
イギリスが世界アニメ史に誇る伝説のアニメーションスタジオ
「ハスラー&バチュラー」が1954年に制作した『動物農場』の豪華2本立て!

この2本に共通していることは人間が主役ではなく、
豚やロボットといった現代の人間中心社会において
奴隷的な役目を担っているもの達の物語ということである。

また、どちらも人間は脇役として登場してくるが、
面白いのは両方ともが人間のいなくなった世界が舞台となっている点。

奴隷から解放され、自分たちの意志で生きていくという状況になった時、
彼らはどのような道を選ぶのか!が作品の一つの見所なんですよね〜。

実写と比べて、アニメーションの利点は
こうした人間以外のキャラクターが主人公となり、その目線から人間を描けること。

人間の愚かさや非情さを浮き彫りにし、普段私たちが気づけていないことを
面白おかしく見せてくれると同時に、
もう一方では人間よりも人間らしい登場人物たちの行動によって、
本来持っている人間の素晴らしさを再確認させてくれる。

これこそがアニメーションの最大の魅力であり、
アニメーション誕生から変ることのない永遠のテーマ。

その真髄を追及した1954年のイギリスで生まれた『動物農場』と
2008年の最先端CGアニメーション『ウォーリー』が
時代を超えて、日本の高田馬場にある早稲田松竹で繋がっちゃう。
なんという偶然!なんという運命!
まるで早稲田松竹は映画のブラックホールや〜。
みんな吸い込まれるように劇場に足を運んでちょうだいな。

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動物農場
ANIMAL FARM
(1954年 イギリス 74分 スタンダード・MONO)

2009年5月2日から5月8日まで上映
■監督・脚本 ジョン・ハラス/ジョイ・バチュラー
■脚本 フィリップ・スタップ/ロサー・ウォルフ
■原作 ジョージ・オーウェル『動物農場』

■声の出演 ゴードン・ヒース(ナレーター)/モーリス・デナム

■オフィシャルサイト http://www.ghibli-museum.jp/animal/

「現代は、あの農場よりは洗練されているような気もするけど、基本構造は全然変わっていない。豚じゃなくて別のものに入れ替わっているだけ。セレブって豚のことでしょ。今、豚は太っていないんだよね、ジムかなんかにせっせと通ってスマートだったりするから」 アニメーション映画監督 宮崎駿

残忍で無能な農場主に虐げられてきた動物たちは、2匹の有能な豚をリーダーとして革命を起こす。 「すべての動物は平等である」という理想を掲げ、人間たちを追放し、自ら農場経営に乗り出す。 順調に滑り出したかに見えた「動物農場」だったが、幸せな日々は数ヶ月しか続かなかった・・・。

pic豚たちが他の動物を監督し、農場主の家で寝起きし、しまいには外部の人間たちとの取引を始め、 これに反対する動物があれば、犬たちを使って素早く弾圧した。 豚たちの支配のもと、動物たちの生活は以前より悪いものになっていた。 納屋の壁に書かれた戒律は、いつの間にか次のように書き換えられていた。

“すべての動物は平等である。しかしある動物はもっと平等である”

pic豚たちは、いまやかつての人間たちとなんら変わらない存在になってしまった。 動物たちは静かに集結し、豚の住む小屋へと進む。 新たな革命の時が刻一刻と迫っていた・・・。

人は平等を願うと同時に、また一方では人より優位な立場になりたいと願うものである。 人間に知性が芽生えてから現代まで続く永遠不変の権力の矛盾にメスを入れた寓話が、時を越え、今ここに蘇る!

イギリス初の長編アニメーションであり、伝説の「ハラス&バチュラー」最高傑作である本作が、 子供向けの娯楽商業作品とはまったく別のアプローチで、アニメーションを芸術作品に昇華させ、 大人を観客の対象としたことは非常に画期的であった。

「ハラス&バチュラー」といえば、1940〜70年にかけてヨーロッパで最大、 かつ最も影響力のあるアニメーションスタジオだが、長編映画をもちろん、 戦時中のプロパガンダ映画や実験映画に至るまで、実に2000以上もの作品を残してる。

pic日本においては名前さえも知られていないのが現状であるが、 アニメーションの歴史において、「ハラス&バチュラー」の 古き良きヨーロッパのアート感覚と乱暴なまでのグロテスクさで描かれる 擬人化された心理描写は大きな功績となっている。

また、イギリス人作家ジョージ・オーウェル原作の『動物農場』を アニメーション化した本作は、登場する動物たちそれぞれが、 現実に存在した政治家などになぞられて読み解くことができ、 オーウェルの鋭い視点と行動力で暴き出したソビエト共産党の内部腐敗や 全体主義批判も作品の一つの見所であると言える。


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ウォーリー
WALL・E
(2008年 アメリカ 104分 シネスコ・SRD)

2009年5月2日から5月8日まで上映 ■監督・脚本・原案 アンドリュー・スタントン
■原案 ピート・ドクター
■脚本 ジム・リードン

■声の出演 ベン・バート/エリッサ・ナイト/ジェフ・ガーリン/フレッド・ウィラード/マッキン・トーク/ジョン・ラッツェンバーガー/キャシー・ナジミー/シガーニー・ウィーヴァー

■2008年アカデミー賞長編アニメーション賞/2008年NY批評家協会賞アニメーション賞/2008年LA批評家協会賞作品賞/2008年ゴールデン・グローブアニメーション作品賞/2008年英国アカデミー賞アニメーション賞/2008年放送映画批評家協会賞長編アニメーション賞

■オフィシャルサイト http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/

圧倒的スケール!ディズニー、ピクサーの愛と夢がついに宇宙を超え、史上最高の傑作を誕生させた!!

pic29世紀──人類がゴミだらけの地球を捨て、宇宙へ逃れてから700年…。その間、ずっとひとりぼっちで働き続けるゴミ処理ロボットがいた。名前は“ウォーリー”

長い年月の中で、いつしか感情が芽生えた彼は、人間たちが残していったゴミの山から宝物を見つけてはコレクションして楽しんでいた。中でも一番のお気に入りは、映画『ハロー・ドーリー!』のビデオ。テープが擦り切れるほど大好きな彼は、劇中の沢山の人達が歌ったり、踊ったりしている姿を見ていると自分もなぜか幸せな気分になれるのだった。でも、男の人と女の人が手をつなぐロマンチックなシーンではどことなく寂しくなり、自分もいつか誰かと手をつなぎたいと願うようになっていた。

そんなある日、空から白くてピカピカの最新鋭の探査ロボットが舞い降りてきた。名前は“イヴ”。700年待ち続けた理想の相手、まるで天使のようなイヴにウォーリーは一目で恋に落ちる。最初はまったく相手にされないウォーリーだったが、不器用ながらも気を惹こうと一生懸命な彼に、イヴも少しずつ心を開いていくのだった。

しかし、二人の間に絆が芽生え始めた時、イヴに異変が起こり、宇宙船に連れ去られてしまう。さらわれたイヴを救うため、ウォーリーは未知なる宇宙へと旅立つ。
それは、想像もつかないほどの壮大な冒険の始まりだった…。

いちばんの願いは、誰かと手をつなぐこと――

途方もなく孤独な地球最後のロボット――そんなアイデアがピクサー内で生まれたのは、まだ『トイ・ストーリー』製作中の14年も前のことだったが、当時『トイ・ストーリー』の脚本家で、後に『ファインディング・ニモ』の演出を手がけたアンドリュー・スタントン監督の心から離れたことはなかった。

スタントンは語る。 「“孤独”の反対は“愛”で、“誰かと一緒にいること”だと気付いたんだ。」
pic

こうして、『ウォーリー』はピクサー史上で最も独創的で、スケールの大きな作品としてその一歩を踏み出した。これまでのピクサー作品といえばファンタジーだったが、『ウォーリー』はファンタジーであるのと同時にダイナミックなSFであり、心を揺さぶるラブ・ストーリーであり、実に小粋なロマンティック・コメディでもあるのだ。

〈ローラ〉


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