東京ゾンビ
(2005年 日本 103分)
2006年6月24日から6月30日まで上映 ■監督・脚本 佐藤佐吉
■原作 花くまゆうさく

■出演 浅野忠信 / 哀川翔 / 奥田恵梨華 / 古田新太 / 松岡日菜

(C)2005「東京ゾンビ」製作委員会

「地獄がいっぱいになると、死者が地上を歩き出す」
──1978年『ゾンビ』より抜粋

pic東京江戸川区の消火器工場。そこで働くアフロのフジオ(浅野忠信)とハゲのミツオ(哀川翔)。二人は毎日柔術の練習に明け暮れていた。二人の間には、師弟のような、親友のような、兄弟のような、またそれ以上の強い信頼があった。ある日、近所の産業廃棄物のゴミ山「黒富士」から蘇ったゾンビ達が二人の前に現れる。柔術の実践を兼ねて迎え撃つアフロとハゲ。しかしあまりの数の多さに、しかたなく逃げることに。

「とりあえず北だな、ロシアにはサンボとかやってる強い奴がゴロゴロいる。男ならロシアだ!」ミツオの言葉に、二人は北を目指すのだが…。

元来ゾンビというのは、ブードゥー教の秘薬で、人間を仮死状態にして、蘇生させて奴隷のように操り農業の手伝いなどをさせる秘儀から来ている。しかし、そんな地味なゾンビがジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』以降はホラー・ムーヴィー・スターにまで成り上がった。それは、「人間を食べる」「噛まれた人もゾンビになる」「頭を破壊しない限り活動を続ける」「動きはゆっくり」等の要素をロメロが組み込んだことで、ゾンビが愛すべき恐怖モンスターへと変貌を遂げたからである。このゾンビの定義は今や誰もが知る暗黙のルールとなっている。

picそんなゾンビ映画を、『殺し屋1』『極道恐怖大劇場 牛頭』などのブッ飛んだ脚本を書いた佐藤佐吉が監督を、その上、原作はヘタウマ漫画家花くまゆうさくの最高傑作『東京ゾンビ』ときたら、期待が高まる。

しかも何が凄いって、外国とかでは銃火器で戦うのに、日本にはそんな物騒なものないので、己の身体を武器に戦います。しかも何故だか柔術。そのうえ、主役二人はアフロとハゲなのに無茶苦茶強いです。唯一つの欠点は柔術が地味な格闘技てとこです。ホラーというよりブラックコメディなので、ゾンビ映画入門としては最適な作品です。

(パンプキン)


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乱歩地獄
(2005年 日本 134分 R-15
pic 2006年6月24日から6月30日まで上映 ■監督・脚本 竹内スグル『火星の運河』/実相寺昭雄『鏡地獄』/佐藤寿保『芋虫』/カネコアツシ『蟲』
■原作 江戸川乱歩

■出演 浅野忠信 / 成宮寛貴 / 松田龍平 / 寺島進 / 市川実日子 / 緒川たまき

配給:ニューセレクト株式会社

今まで誰も映像化しなかった四つの江戸川乱歩作品を、四人のディレクターが映画化した話題作。

『火星の運河』 監督:竹内スグル

荒野を歩き続ける男(浅野忠信)。まったく変わらない景色の中を朦朧としながら歩き続けると、その先にはぽっかりと沼が口をあけていた。水面を見ると自らの体が白く女のようになっている。その様はかつての自分の恋人(shan)の体そっくりで・・・。

『鏡地獄』 監督:実相寺昭雄

pic明智小五郎(浅野忠信)は、妻・文代(市川実日子)の療養先の鎌倉で起こった怪事件に興味を持つ。茶席に出席していた女性が相次いで変死したのだ。どちらの現場にも高級文具「河善」の和鏡が置いてあった。店主であり鏡の製造主の斎透(成宮寛貴)は恐ろしいほど美しい青年で女達を虜にしていたが、死んだ二人もまた透と肉体関係にあった。まもなく透は義理の姉・梓とも情交を結び・・・。

『芋虫』 監督:佐藤寿保

明智小五郎と小林少年(韓英惠)のもとに、切断された手足のホルマリン漬けが映し出された不気味なフィルムが送られてくる――とある廃墟のような屋敷の一室。戦争で両手両足を失った須永中尉(大森南朋)とその妻・時子(岡田夕紀子)がひっそりとくらしている。時子は視覚と触覚しか機能していない「芋虫」のような夫を献身的に介護する一方で残虐な欲望を抑えきれず、異常な性向に溺れていた。そんな彼らを、時子の亡き伯父の書生・平井太郎(松田龍平)が屋根裏から観察していたが…。

『蟲』 監督:カネコアツシ

女優の木下芙蓉(緒川たまき)を密かに慕う運転手の柾木愛造(浅野忠信)。しかし、芙蓉には忠実な恋人(浅野忠信・二役)がおり、柾木は叶わない思いに悶えていた。ある日、ついに芙蓉に自らの想いを告げた柾木であったが、その想いはむなしく散ってしまう。それでも芙蓉をあきらめきれない柾木は芙蓉を襲い・・・。

picカルト、アート、エロ・グロ・ナンセンス。江戸川乱歩の作品の映画化はこれまでにも何度か行われ、その都度メインストリームとは一線を画したところで話題となってきた。そして今回、未だかつて映画化されなかった4つの作品を、オムニバス形式でそれぞれ異なる監督が映画化した。しかもこの4人、別々のフィールドで活躍する人選なのだから尚更興味深い。

『屋根裏の散歩者』('94)、『D坂の殺人事件』('98)に続いて今回が3作目の乱歩作品の映画化となる実相寺昭雄。ピンク映画界の鬼才・ピンク四天王の一人である佐藤寿保。PV・CMで活躍する映像ディレクター・竹内スグル。そして、『BAMBi』『SOIL』などストリート感覚に溢れ、アメコミを思わせる独特の画風で人気の漫画家・カネコアツシ。各々が独自のこだわりで挑んだ乱歩ワールドで生きるのは浅野忠信、成宮寛貴、松田龍平という旬の若手俳優。加えて、市川実日子、韓英惠、緒川たまき、大森南朋、ダンサー 森山開次、ゆらゆら帝国といった才能が結集。ビジュアル、演技、音楽まで含め全てが妖しい極彩色。

あまりにも艶やかなこの地獄に、どっぷり浸ってみませんか?

(Sicky)



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