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運命じゃない人
(2004年 日本 98分)
2006年12月16日から12月22日まで上映 ■監督・脚本 内田けんじ
■出演 中村靖日/霧島れいか/山中聡/山下規介/板谷由夏

■オフィシャルサイト http://www.pia.co.jp/pff/unmei/

皆さんは何を求めて映画を観賞しますか?好きな俳優の演技?名匠による演出?癒し?涙?

これらを求めている方の鑑賞リストには、なかなか乗る作品では無いかもしれませんが、騙されたと思って是非この作品を観て頂きたい。この作品のウリは、「観る者の知的感覚をビリビリ刺激する構成。」コレに尽きる。

pic異なるいくつもの話が、徐々にひとつのドラマとしてつながっていく。クエンティン・タランティーノ監督作品等にみられる手法ですが、これがまぁ、お見事。

物語が進行していくにつれ「やられた!」の連続。物語の山脈が徐々に連なっていく様は圧巻。これがまたキモチいい。

予算がなくても、アイディア次第で映画はこんなに面白くなるという、良いお手本。既に観ていても、もう一度観直したくなる。そしてその度に新たな発見が・・・。日本映画の新たな可能性を示してくれる佳作。

picもちろん各キャラクターやセリフ、演出だって抜かりなし。あらゆる面で楽しませてくれる。そんなワケで第58回カンヌ国際映画祭において、フランス作家協会賞など4つの賞を受賞。

自主映画出身の新人監督?無名の俳優陣?低予算の邦画?だからナニ?そんなネガティブな要素は関係ナシ!面白いモノは面白い。 映画監督、内田けんじ。要注目!

(オサム)



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寝ずの番
(2006年 日本 110分
pic 2006年12月16日から12月22日まで上映 ■監督 マキノ雅彦
■原作 中島らも『寝ずの番』(講談社刊)
■脚本 大森寿美男

■出演 中井貴一/木村佳乃/木下ほうか/蛭子能収/桂三枝/笑福亭鶴瓶/堺正章/岸部一徳

■オフィシャルサイト http://nezunoban.cocolog-nifty.com/main/

人が死ぬということは、人生最後の一大イベントである。どんなジミ〜な人生を送ってきた人だって、結婚式とお葬式は誰もが主役になる。死んだところでまだ終わりではないのだ。寝ずの番とは、お通夜のこと。普通は静かに故人と最後のときを過ごす時間のはずだけど、今回の場合は、さて。

pic突然ですがここでひとつ。

ぼくらを乗せて
シュッポシュッポシュッポッポ〜
早いぞ早いぞまだ早い〜
ゴムも飛ぶ飛ぶ 汁も飛ぶ
絶頂だ絶頂だ 楽しいな♪

このあからさまにまいっちんぐな歌はお通夜の席で歌われたもの、と聞いて、「ンマー不謹慎!」と感じる方もおられるかと思います。

picでも、ちょっと考えてみて下さい。なにも死に別れじゃなくても、お別れの時ってあまり悲しまれると別れづらくなるものじゃないですか?では、笑い飛ばしてくれたらどうでしょう。なんだか気が楽になりませんか。

そういう意味では、故人を囲んでお下品な歌を歌って、挙句の果てには故人を担いでルンルン踊っても、それはすごくいい送り方だと思うのです。表向きだけ神妙な顔して、本当はお金のことを考えたりする人たちなんかよりも、はるかに健全ですよね!

pic本作品は俳優、津川雅彦が三代目マキノ雅彦としての初監督作品。そして選ばれたのが中島らも原作の『寝ずの番』。個人的な話ですが、2004年にらもさんが急逝された時は本当に悲しかったのですが、だけどお酒を飲んで酔って階段から落ちて…という全くらもさんらしい死に方に、悲しいだけではない何かしみじみとした気分にさせられました。この映画もそのように、悲しいだけではない何かを感じさせてくれる映画です。(なんて…、本当はほとんどがお馬鹿なんですが)勿論、原作も面白いですよ!

picよいお通夜とは、よい人生を送った人に与えられるものかもしれません。それならば私もこれから、まいっちんぐな逸話をたくさん作って自分のお通夜に備えておかなきゃあ、なんて『寝ずの番』を観てゲラゲラ笑いながら思ったのでした。

(リンナ)



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