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戦場のアリア
JOYEUX NOEL
(2005年 フランス/ドイツ/イギリス 117分)
2006年12月23日から12月29日まで上映 ■監督・脚本 クリスチャン・カリオン
■出演 ダイアン・クルーガー/ベンノ・フユルマン/ギョーム・カネ/ダニエル・ブリュール

1914年、第一次大戦下。フランス北部の村ではドイツ軍とフランス・スコットランド連合軍が、連日砲弾を鳴り響かせていた。やがて、訪れたクリスマスの夜。ドイツ軍には10万本のクリスマスツリーが届けられ、スコットランド軍の塹壕からはバグパイプの音色が聴こえる。そして、豊かな歌声が戦場の最前線に響いた時、一夜限りの奇跡が起こる――。

picこの作品は、ドイツ占領下だったフランス北部出身のクリスチャン・カリオン監督が、一冊の本に出会ったことから始まった。そこには、クリスマスの夜にフランス北部の戦場の最前線でドイツ人テノール歌手の歌声にフランス軍兵士が喝采を贈ったことや、戦地でクリスマスを祝うささやかな友好の様子が記されていた。史実に基づいた物語である。

一夜限りの「クリスマス休戦」。戦争の武器として、まだ核兵器が使用されていなかった時代。戦争といえども、まだそこには人と人との関わりが確かに存在していた。クリスマスの友好と聞けば、温かく幸せなエピソードであろうと想像する。けれど、それぞれが自分の国を想い、愛する人を想い、その命を奪われ、奪い、敵もまた自分と同じ人間なのだと知ることは、もしかしたら苦痛に満ちていることなのかもしれない。

pic当初、クリスマスまでには終わると予想されていたこの大戦は、その後約4年続くこととなる。戦争という運命に翻弄されながら、哀しく、しかし、優しくその歌声は響く。

(ロバ)



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戦場のメリークリスマス
MERRY CHRISTMAS, MR.LAWRENCE
(1983年 日本/イギリス 123分)
pic 2006年12月23日から12月29日まで上映 ■監督 大島渚
■原作 ローレンス・ヴァン・デル・ポスト
■脚本 大島渚/ポール・メイヤーズバーグ
■音楽 坂本龍一
■出演 デヴィッド・ボウイ/坂本龍一/ビートたけし/トム・コンティ/ジャック・トンプソン

★本編はカラーです。

この面子にあの旋律!

傑作か、怪作か、はたまた珍作か。デヴィッド・ボウイにビートたけし、坂本龍一に加えて、ジョニー大倉まで出ている今作。あまりに有名な旋律にのせて繰り広げられる、どこか性的な雰囲気の漂う男達のドラマは、様々な意味で衝撃的だ。

pic1942年、第二次世界大戦下のジャワ島の日本軍捕虜収容所。朝鮮人軍属のカネモト(ジョニー大倉)がオランダ人捕虜を強姦するという事件が起きた。鬼軍曹のハラ(ビートたけし)は、日本語を解するイギリス人将校のロレンス(トム・コンティ)を証人として、独断でカネモトを切腹させようとする。しかし、騒ぎに気が付いた収容所長のヨノイ(坂本龍一)によって、カネモトの処分は保留される。

picそんなある日、収容所にイギリス軍少佐ジャック・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)が連れてこられる。彼こそは軍事法廷にてヨノイが強い関心を抱いた男だった。収容所内で反抗的な態度をとりつづけるセリアズに苦慮しながらも、ヨノイは彼に惹かれていく。一方、ハラとロレンスの間にも奇妙な友情のような感情が育っていた。やがて、カネモトの処分を始めとする事柄が、男達の関係を劇的に動かしていく。

いまや世界の映画界の最重要人物に挙げられるビートたけし(北野武)は「殺気のある男」と大島監督に口説かれて今作で映画デビュー。自分の演技の質に恥じ入ったそうだが、自己評価とは裏腹に世界的に高い評価を受けた。同じく初出演の坂本龍一は自ら音楽監督も買って出て、現在まで続くキャリアのスタートとなった。また、スーパースター、デヴィッド・ボウイはシナリオを読むやいなや撮影予定も立っていない段階で出演を許諾。クランクインまで2年間を要したが、スケジュールを開けて参加した。

pic未見の方でも、名前は知っているであろう『戦メリ』。巨匠・大島渚監督の手による難解な作品と見ることもできるが、深遠なテーマは別にして、この面子とあの旋律に身を任すだけでも充分に楽しめる作品である。

(Sicky)



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