リトル・ダンサー
BILLY ELLIOT
(2000年 イギリス 111分)
2006年7月8日から7月14日まで上映 ■監督 スティーヴン・ダルドリー(『めぐりあう時間たち』
■脚本 リー・ホール
■出演 ジェイミー・ベル / ジュリー・ウォルターズ / ゲイリー・ルイス / アダム・クーパー

配給:角川ヘラルド映画株式会社

イングランド東北部の炭坑町に住む11歳の少年、ビリー。母は亡くなってしまって、ストライキ中の炭坑夫の父と兄、そして少しぼけてしまったおばあちゃんとの4人暮らし。ずっとボクシングを習っていたビリーだったが試合には負けてばっかり。そんなある日、ひょんなことからバレエのレッスンに飛び入りすることになり、バレエって楽しい!踊りたい!と思うようになるビリーだったが…。

picまず、11歳という年齢で自分はこれをやる、これしかないと胸を張って言えるものが見つかるというのは本当に幸せなことだ。そして親に反対されたり、無理に引き離されたりすることもよくあることで、ビリーもやっぱり猛反対、大激怒される。昔気質なお父さん、バレエなんて男のやるもんじゃないとビリーの話を聞こうともしない、もちろん踊っているところも見ようともしない。スト中で貧乏なのにそんなことに金を使ってたまるか、と。

pic11 歳という年齢、自立できないうちは親の協力と理解は大切だ。だけど諦めるなんてとてもできないビリー少年。でも本当の意志や情熱は、言葉にしなくたっていろんな人に伝わるものなのだ。そう、たとえダンスやバレエのことなんてわからないとしても!逆にそうでなければ夢なんて叶わないのかもしれません。

誰だって一度は夢を見る。誰にも言わなくても、忘れてしまっても。夢なんて、と笑って逃げてしまったとしても。スクリーンの中のビリー少年の夢を応援しているうちに、自分の中に埋もれてしまっていたことを引っぱりだしてしんみりしてしまう人もいることでしょう。

pic夢を追っている人、夢をあきらめてしまった人。どちらの思いもたくさんたくさん入っています。観終わった後に、あの頃のことを思い出してしまうような、そんな映画です。

(リンナ)


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リトル・ランナー
SAINT RALPH
(2004年 カナダ 98分)
pic 2006年7月8日から7月14日まで上映 ■監督・脚本 マイケル・マッゴーワン
■出演 アダム・ブッチャー / キャンベル・スコット / ゴードン・ピンセント / ジェニファー・ティリー

(C)2004 Running Miracles Productions Inc, an Alliance Atlantis company. All rights reserved.

『リトル・ランナー』(原題 "SAINT RALPH") というタイトルを聞いて、『リトル・ダンサー』(原題 "BILLY ELLIOT")を思い出さなかった人は果たしているでしょうか?早稲田松竹はこの二本をまとめて上映しちゃいます!タイトルこそ似たようなのつけちゃったけど、実際中身はどうなのか?ぜひこの機会に中身も見比べてみてください。

pic1953年、カナダのカトリック学校に通うラルフ・ウォーカー、14歳。たばこや異性に好奇心を燃やす、ごく普通の思春期の少年。父は先の大戦で戦死、母が重病で入院していたが、ある日母親が昏睡状態に陥ってしまう。「奇跡でも起きない限り目覚めない」と告げられたラルフは、後日体育教師が口にした「優勝したら奇跡だ」という言葉を聞いて、ボストンマラソンに参加することを決める。

母親が意識を取り戻す=奇跡=ボストンマラソン優勝、という短絡的と言ってしまえば、まぁ短絡的な思考ではあります。よくあるお涙頂戴もの、と言えばそれもそうかも知れません。でも、ひたむきに、優勝すればお母さんが目を覚ますとただ信じて走るラルフの姿を見て、応援せずにはいられないのです。思考が短絡的だろうが、もし優勝できたとしても目が覚めるとは限んないじゃん、と突っ込みたくなるような、そういう懸念は抜きにして、手に汗握ってこう思ってしまうのです。「がんばれ!ラルフ!!」

pic父を戦争で亡くして、母親も病床に伏していて、という状況と、このストーリーからすると、さもシリアスなイメージの映画ですが、何故か悲壮感は全く漂っていません。主人公のラルフが、性的好奇心旺盛な、そのへんにゴロゴロ転がってそうな典型的14歳の男の子だからでしょう。これってコメディか?と笑わせてくれながらも、結局うるうるさせられてしまう、爽やかな作品です。

(mana)



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