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「人間の若者が海辺の岩の上で髪をといている人魚を見つける。若者は人魚のそばにあったショールを奪って家に帰り去る。 大切なものを奪われた人魚は若者を追うが、それを返してもらえず仕方なく若者と結婚する。 二人の間にはやがて子供が生まれるが、ある日人魚は上着を見つけ夫と子供を残して海に去っていく。」
――『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』パンフレット(渡辺洋子「Song of the Seaに寄せて」)より一部抜粋

海の中には私たちのまだ知らない不思議な世界が広がっています。 そして、世界には古くから伝わる不思議な「お話」が数多と生まれてきました。 今週の上映作品もそんな「お話」の匂いを感じるアニメーションです。

一本目はアイルランドのトム・ムーア監督作『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』

アイルランドの西海岸の岩場や洞窟にはアザラシが多く生息し、その表情やしぐさが人間に似ていることから、 海ではアザラシ、陸では人間の女性の姿をした妖精・セルキーがいると言われています。

作品はこの話を主軸に、幼い兄妹のベンとシアーシャが大冒険を繰り広げます。 物語の中にはアイルランドの様々な神話や民話が多くちりばめられ、アイルランドの豊かな自然と、 そこに潜む幻想的な世界を美しいアニメーションでたっぷりと体験できます。

二本目はフランスで製作されたマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督作『レッドタートル ある島の物語』

無人島に流れ着いたひとりの男が、海で一匹の赤い亀と出逢う物語です。作品に台詞は無く、自然の音と男の生活音が響き、 簡素な画のタッチでありながら表現力の高いアニメーションで静かに語られています。

島での男の一生を通して見えてくるのは、生と死は隣り合わせであること、自然は私たちを時に包みこみ、 時に牙をむく存在であること、といったシンプルな生命の真実です。
「どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?」
男の姿を観ていると、人が生きていくうえで最も本質的な部分とはなにかを、しみじみと考えさせられてしまうのです。

昨今、海外のアニメーション映画と言えば、ウォルト・ディズニー、ピクサー、ドリームワークスなど、 アメリカ巨大資本のアニメーションスタジオが最先端技術を駆使して制作した作品が中心です。 しかし、古典アニメを踏襲したどこか懐かしさを覚える作品も出てきています。 また、それらの作品は世界の主要映画祭でも賞賛を受け、新たな波を起こしているのです。 今週は、そんなヨーロッパ新鋭アニメ―ションを二作品お送りいたします。是非ご覧ください。

(まつげ)

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた
SONG of the SEA
(2014年 アイルランド/ルクセンブルク/ベルギー/フランス/デンマーク 93分 DCP ビスタ) pic 2017年2月4日から2月10日まで上映 ■監督・製作 トム・ムーア
■脚本 ウィル・コリンズ
■音楽 ブリュノ・クレ/KiLA(キーラ)
■声の出演 【吹替版】本上まなみ/リリー・フランキー/中納良恵 【字幕版】デヴィッド・ロウル/ブレンダン・グリーソン/フィオヌラ・フラナガン

■2014年アカデミー賞長編アニメ賞ノミネート/アニー賞7部門ノミネート/2015年東京アニメアワードフェスティバルグランプリ受賞/2015年ヨーロッパ映画賞長編アニメ賞受賞

©Cartoon Saloon, Melusine Productions, The Big Farm, Superprod, Norlum

――あなたは世界一のお兄ちゃんになるわ
――ママ、私はここにいたい
貝殻からは、海の歌が聞こえる

pic 海辺の灯台の家で、両親と暮らしていた少年ベン。彼は優しくて物知りな母に、アザラシの妖精セルキーの不思議な伝説や、古い言葉で綴られる美しい歌など、たくさんのことを教えてもらっていた。ある日、ベンは母に海の歌が聞こえる貝の笛をもらい、喜んで眠りにつく。しかし次の日起きると、母は小さな妹シアーシャを残して姿を消してしまう。母がいなくなったのは妹のせいだと思っているベンは、彼女に優しくすることができなかった。

6年が過ぎて、母の命日でもありシアーシャの誕生日でもある日の夜、シアーシャは不思議な光に導かれ、父が隠していたセルキーのコートを見つけ海に入ってしまう…。

母が残したうたを頼りに、 幼いふたりの大冒険がはじまる!
アイルランド発、心に響く、珠玉の家族の物語。

pic第87回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネートをはじめ、アニメ界のアカデミー賞と言われるアニー賞に7部門でノミネート、2015年東京アニメアワードフェスティバルではグランプリを受賞するなど、世界中のアニメーション界を席巻した『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』。アイルランド神話を基に描く、幼い兄妹の大冒険、そして別れが、絵本から動き出したかのような、息を呑む圧倒的な映像美で紡がれていく。

pic 2014年にアイルランド、ルクセンブルク、ベルギー、フランス、デンマークの5カ国の国際共同製作によってつくられた本作。制作は、本作の監督トム・ムーアが設立し、“ポスト・スタジオジブリ”と本国アイルランドで称される制作会社“カートゥーン・サルーン”だ。音楽は、『コララインとボタンの魔女』など数々の映画音楽を手掛ける、ブリュノ・クレが担当している。世界中のアニメーション界で注目され、今後のアニメーションを語る上で外すことができない大型新人監督の登場に注目だ。

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レッドタートル ある島の物語
La tortue rouge
(2016年 日本/フランス/ベルギー 81分 DCP ビスタ)
pic 2017年2月4日から2月10日まで上映 ■監督・原作・脚本 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
■脚本 パスカル・フェラン
■アーティスティックプロデューサー 高畑勲
■音楽 ローラン・ペレズ・デル・マール
■製作 スタジオジブリ/ワイルドバンチ 
■プロデューサー 鈴木敏夫/ヴァンサン・マラヴァル

■第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞受賞

どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?

pic嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、一人の女が現れた――。

構想10年、制作8年──
スタジオジブリ最新作が、フランスからやってくる!

pic 2000年に公開された、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の『岸辺のふたり』。わずか8分間という短編にもかかわらず、父娘の愛おしい絆を丹念に描いて世界中を静かな感動で包み、アカデミー賞短編アニメーション映画賞など世界各国の賞を多数受賞した。そして、同作を観たスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーの、この監督の長編を観てみたいという気持ちが出発点となったのが『レッドタートル ある島の物語』だ。

pic初の長編制作の打診を受けたマイケル監督は、尊敬する高畑勲監督から、長編映画の制作について助言を受けることを条件にこれを快諾。高畑監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまで、打ち合わせを重ねた。アニメーション制作の実作業はフランスを中心に行われ、実に8年もの歳月をかけて遂に完成させた。

圧倒的なアニメーションの表現力で描く本作は、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて特別賞に輝いた。

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