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高校生特有の爽やかさと勢いをまとい、
夏空を背景に時を越えていく少女(『時をかける少女』)。
山に囲まれた田園風景の中、戦国時代の討ち入りのごとく一族を従え、
先頭でのぼり旗を勇ましく掲げるワンピースを着た女の子(『サマーウォーズ』)。
風が強く舞う山の上、子供二人を抱きかかえ
力強いまなざしで立っている母親(『おおかみこどもの雨と雪』)。
異世界のバケモノ達が見守る中、
刀を肩に担ぎ同じ立ち姿で仁王立ちする大きな熊男と小さな少年(『バケモノの子』)。

細田守監督作品のビジュアルイメージは、作品をとても象徴していて、どれもが記憶に残ります。ポスターを見かけると主人公たちの強い眼差しと、全体から沸き立つ冒険の始まりのような雰囲気に心をくすぐられ、ワクワクした気持ちになるのは私だけではないはずです。

今週の早稲田松竹は、作品を発表するたびに大きな話題となり、いまや日本のアニメーション界を代表する存在である細田守監督の、最新作『バケモノの子』と、2012年公開作『おおかみこどもの雨と雪』を二本立てでお送りします。

細田監督の周りで子供ができる夫婦が多くなり、子育てをする彼らの姿(特に母親)がカッコよく、輝いて見えたことから着想し、自身が体験してみたい憧れを形にした『おおかみこどもの雨と雪』。“おおかみおとこ”と人間の間に生まれたふたりの子供=“おおかみこども”、という、特別なある家族の13年にわたる物語です。けれど、主人公・花がおおかみこどもたちの母親に成長する姿を通して見えてくるのは、新たな生命が誕生し、育て、そして共に生きるという、とても普遍的な人間の姿です。様々な問題を抱えながら生きる花とおおかみこども達が、雪の斜面を駆け回り心から楽しんでいるシーンを観ていると、これこそが生きることの醍醐味であり、人生の幸せはシンプルだと感じるのです。

いっぽう『バケモノの子』は、細田監督自身が父親になり、子供が今の世の中で大きくなっていくとはどういう事か、また、親として子供に何ができるのだろうかと考えるようになるなかで制作が始まりました。己の力のみで強くなった粗暴な性格のバケモノの武者・熊徹と、父と別れ母を失ってひとりぼっちの子供・九太が出会い、武術を教え教わる中で親子のような関係を築いていく姿が描かれています。他人であるふたりの間で生まれる絆は、互いに大切なものとなり、彼らに訪れる逆境を乗り越える糧となっていきます。細田監督は、現実世界で子供たちに訪れるたくさんの困難に、何があれば挫けずに前進することができるかを作品の中に込め、また我々大人たちには、家族形態が変容した現代社会であるからこそ大人たち皆で成長していく子供たちに何をしてあげられるのかを問いかけていくのです。

細田監督はマジカルな世界観で、主人公と観客全員を冒険へと導いていきます。その冒険が終わった後に心に残るのは、子どもたちや我々大人にも無限の可能性があるんだという前向きな気持ち。 そして、大げさかもしれませんが生きるチカラとユウキが沸いてくるのです。

微かにしてきた春の香りに誘われて、さぁ大冒険だ!! お子様も是非!

(まつげ)

おおかみこどもの雨と雪
(2012年 日本 117分 DCP ビスタ) おおかみこどもの雨と雪 2016年2月20日から2月26日まで上映5 ■監督・原作・脚本 細田守
■脚本 奥寺佐渡子
■キャラクターデザイン 貞本義行
■音楽・主題歌 高木正勝
■作画監督 山下高明
■美術監督 大野広司
■衣装 伊賀大介
■劇中画 森本千絵

■声の出演 宮崎あおい/大沢たかお/黒木華/西井幸人/大野百花/加部亜門/林原めぐみ/染谷将太/谷村美月/麻生久美子/菅原文太

■2012年日本アカデミー賞アニメーション作品賞

私が好きになった人は、おおかみおとこでした。

おおかみこどもの雨と雪 ある日、大学生の花は人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”に恋をした。ほどなく、ふたりは愛し合い、ふたつの新しい命を授かる。雪の日に生まれた姉は≪雪≫、雨の日に生まれた弟は≪雨≫と名づけられた。そんな小さなふたりには、大きなヒミツが。人間とおおかみのふたつの顔を持つ<おおかみこども>として生を受けたのだ。

雪と雨が<おおかみこども>であることを隠しながら、家族4人は都会の片隅でひっそりと暮らしていた。つつましくも幸せな毎日。しかし永遠に続くと思われた日々は、父である“おおかみおとこ”の死によって突然奪われてしまう。取り残された、花と雪と雨の3人。幼いふたりの子どもと幸せに生きるため、母は決断する。都会の人の目を離れて、厳しくも豊かな自然に囲まれた田舎町に移り住むことを――。

『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督作
あらゆる世代を魅了する作品が誕生!

おおかみこどもの雨と雪 『時をかける少女』『サマーウォーズ』で、国内外の映画賞を席巻した細田守監督が、本作で描いたのは、「1人の女性が、恋愛・結婚・出産・子育てを通じて成長する姿」と「その子どもたちが、誕生から自分の生きる道を見つけて自立する過程」。それは、およそ2時間の映画で13年間という「時間」を丸ごと描き出すという、アニメーションだからこそ実現可能な試みだ。

“おおかみおとこ”とのおとぎ話のような恋をきっかけに、2人の<おおかみこども>の母となる主人公・花を宮崎あおい。数奇な運命を受け入れ、花と子どもたちを優しく見守り続ける“おおかみおとこ”を大沢たかおが演じる。そして、前作までに引き続き、最強のスタッフが再集結。さらに『おおかみこどもの雨と雪』の制作にあたって、アニメーションスタジオ【スタジオ地図】を設立した。アニメーションの新たな可能性を追求し続ける細田作品が、またしても前人未踏の領域に挑む。

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バケモノの子
(2015年 日本 119分 DCP ビスタ) バケモノの子 2016年2月20日から2月26日まで上映 ■監督・原作・脚本 細田守
■キャラクターデザイン 貞本義行
■作画監督 山下高明/西田達三
■美術監督 大森崇/高松洋平/西川洋一
■音楽 高木正勝
■衣装 伊賀大介

■声の出演 役所広司/宮崎あおい/染谷将太/広瀬すず/大泉洋/ リリー・フランキー/津川雅彦/山路和弘/黒木華/宮野真守/大野百花/山口勝平/諸星すみれ/長塚圭史/麻生久美子

キミとなら、強くなれる。

バケモノの子この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。人間界【渋谷】とバケモノ界【渋天街(じゅうてんがい)】。交わるはずのない2つの世界に生きる、ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノ。ある日、少年はバケモノの世界に迷い込み、バケモノ・熊徹の弟子となり、九太という新しい名前を授けられる。その偶然の出会いが、想像を越えた冒険の始まりだった――。

エンターテインメントの王道を極めた≪新冒険活劇≫!

バケモノの子 『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』で、今や世界で最も注目を集めるアニメーション映画監督・細田守の最新作『バケモノの子』。バケモノと少年の奇妙な師弟関係を軸に、バケモノたちの棲む異世界での修行と冒険、リアルな渋谷を舞台にした壮大なアクション、親子の絆やヒロインとの淡い恋愛など、子どもから大人まで、あらゆる世代が共感できる、エンターテインメントの全ての要素が詰まった≪新冒険活劇≫だ。

本作には、役所広司、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すず、大泉洋、リリー・フランキー、津川雅彦をはじめとした日本映画界を代表する超豪華キャスト陣が参加。壮大なエンディングを飾る主題歌「Starting Over」をMr.Childrenが担当した。アニメーションと実写の垣根を越えた、超豪華キャストと日本最高峰のスタッフが集結した『バケモノの子』が、またしても日本中を感動で包み込む!

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