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95年の『ジュマンジ』は異様にダークな映画でした。ボードゲームのマス目に描かれた通りにサルやサイが現実に浸食していく場面は悪夢のようでしたし、何よりゲームの魔力によって長年ジャングルで孤独に生きる運命を強いられるロビン・ウィリアムズの悲しい眼差しが印象的でした。

だからこそ一作目から23年後に発表された正当続編『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』に漲る、前作と180度違う明るさには驚かされます。ゲームの世界でドウェイン・ジョンソンやジャック・ブラックになってしまった今どきの高校生たちが力を合わせるアドヴェンチャー映画の王道的面白さもさることながら、冒険によって人間的に成長していく高校生たちの心情を描いた青春学園ものとしてもオリジナルを見事に換骨奪胎しているのです。(優れた青春映画だった『スパイダーマン:ホームカミング』の脚本化コンビの仕事が光ります)。

続編というよりリ・ブート(再起動)の趣きが強い作品ですが、ディテールの端々には一作目へのリスペクトが感じられます。特にオリジナルと対になるような、あっけらかんとしたラストシーンは笑えること請け合いです。

『レディ・プレイヤー1』は文句なしの痛快超大作です。巨匠スピルバーグが今このような題材を選んだことは驚きですが、興味深いのはゲームを映画に置き換えればゲームに耽溺する主人公ウェイドは、映画に逃避していたかつてのオタク青年スピルバーグその人に見えることです。一方で、世界中の人々を夢中にさせるゲームを作り続けてきたクリエイターのジェームズは、『E.T』や『ジュラシック・パーク』など世界最強コンテンツを生み出し続けてきた現在71歳のスピルバーグを投影しているように見えます。

ジェームズ(現在のスピルバーグ)は主人公ウェイド(青年スピルバーグ)に現実逃避できるゲーム(映画)の面白さを伝えながら、同時にそれを通して成長し現実に向き合おう、と力強いメッセージを送っているのです(もちろん、そのメッセージは若き日のスピルバーグのような内向的な少年少女にも向けられたものです)。

本作はエンタメ超大作でありながら極めて個人映画的な手ざわりも強い作品なのです(こんな離れ業ができるところはまさに巨匠です)。スピルバーグのキャリアを総決算するような一本であり、終盤のある台詞はまるで今までスピルバーグ作品を愛してきたファンに向けられた言葉のようで感涙ものです。

(ルー)

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2D・字幕)
Jumanji: Welcome to the Jungle
(2017年 アメリカ 119分 DCP シネスコ) pic 2018年8月25日から8月31日まで上映 ■監督 ジェイク・カスダン
■製作総指揮 ジェイク・カスダン/ドウェイン・ジョンソン ほか
■原作 クリス・ヴァン・オールズバーグ
■原案・脚本 クリス・マッケナ
■脚本 エリック・ソマーズ/スコット・ローゼンバーグ/ジェフ・ピンクナー
■撮影 ギュラ・パドス
■音楽 ヘンリー・ジャックマン

■出演 ドウェイン・ジョンソン/ジャック・ブラック/ケヴィン・ハート/カレン・ギラン/アレックス・ウルフ/サーダリウス・ブレイン/マディソン・アイスマン/モーガン・ターナー/ニック・ジョナス/ボビー・カナヴェイル

4人の高校生を吸い込んだゲーム〔異世界〕
その名前は・・・ジュマンジ

pic 学校の地下室で居残りをさせられていた、気弱なゲームオタクのスペンサー、頭が悪いアメフト部員のフリッジ、自撮り大好きうぬぼれ美人のベサニー、シャイなガリ勉のマーサの4人。彼らは「ジュマンジ」という名前のソフトが入った古いゲーム機を偶然発見する。プレイするキャラクターを選択した途端、4人は現実世界の自分とは性格も体格も性別までも違うキャラクターとなってゲームの中の世界に入り込んでしまう。周りはジャングル、猛獣と敵だらけ。各自のライフはたったの3つ、クリアできなければ、永遠にゲームの中に閉じ込められる。果たして彼らは、生きて現実世界に帰ることができるのか!?

予想のナナメ上ゆく全米No.1大ヒット!
スリル&冒険度MAXの
超体験型アトラクション・アドベンチャー!

pic1995年製作、ロビン・ウィリアムズ主演の大ヒット作『ジュマンジ』の続編である本作『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、ゲームの中に吸い込まれ、ゲームキャラに入れ替わるという、予想のナナメ上ゆくおもしろ設定が世界中で大ウケ! 3週連続全米No.1、世界55カ国No.1、全世界興行収入960億円突破という超絶大ヒットを記録した。

主演を努めるのは『ワイルド・スピード』シリーズのドウェイン・ジョンソン。主人公のゲームオタク・スペンサーがゲームの中で入れ替わるムキムキな冒険家を演じている。共演に『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラック、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのカレン・ギラン。『バッド・ティーチャー』のジェイク・カスダンがメガホンをとった。

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レディ・プレイヤー1(2D・字幕)
Ready Player One
(2018年 アメリカ 140分 DCP シネスコ)
pic 2018年8月25日から8月31日まで上映 ■監督・製作 スティーヴン・スピルバーグ
■原作 アーネスト・クライン「ゲームウォーズ」(SBクリエイティブ刊)
■脚本 ザック・ペン/アーネスト・クライン
■撮影 ヤヌス・カミンスキー
■編集 マイケル・カーン/セーラ・ブロシャー
■音楽 アラン・シルヴェストリ

■出演 タイ・シェリダン/オリビア・クック/ベン・メンデルソーン/リナ・ウェイス/マーク・ライランス/サイモン・ペッグ/森崎ウィン/フィリップ・チャオ/ハナ・ジョン=カーメン

©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

VR世界〈オアシス〉で見つけたのは、
最高の初体験。

pic2045年。多くの人々は荒廃した街に暮らす現実を送っていたが、若者たちには希望があった。それはVR(バーチャル・リアリティー)の世界、「オアシス」。そこに入れば、誰もが理想の人生を楽しむことができる。ある日、そのオアシスの創設者、ジェームズ・ハリデーが亡くなり、彼の遺言が発表された。“全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界のすべてを授けよう”。突然の宣言に世界中が湧き立ち、莫大な遺産を懸けた壮大な争奪戦が始まった。

現実でパッとしない日常を送り、オアシスに自分の世界を求めていた17歳のウェイドもまた参加者の一人だ。オアシスで出会った仲間たち、そして謎めいた美女アルテミスと協力し、争奪戦を勝ち残ろうとするウェイド。しかしそこに世界支配のため、すべてを手に入れようとする巨大企業IOI社も出現して…。

人気ライド・アトラクションの生みの親、
スティーヴン・スピルバーグが贈る、
史上最高のアドベンチャー!!!

pic CGや3Dなど、さまざまな革新作を生んできた映画に、またもや新たな革命が起こった! VR(バーチャル・リアリティ)の世界をわれわれ観客にも一緒に体感させる。それが『レディ・プレイヤー1』だ。本作では、VRワールド「オアシス」創設者の遺言に仕掛けられた3つの謎と莫大な財産をめぐる、空前絶後のアクションとドラマが展開する。

原作はアーネスト・クラインによる「ゲームウォーズ」。アメリカはもとより日本のアニメや特撮を含む1980年代のポップカルチャーを盛り込んだベストセラー小説だ。スティーヴン・スピルバーグ監督は、最先端テクノロジーによる魔法レベルのビジュアルでこのVR世界をリアルに映像化し、さらに謎を解きながら進むゲームの楽しさを合体させた。映画でしか味わえない最高の興奮と感動を、あなたは『レディ・プレイヤー1』で体験する!

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