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今回上映する作品の一方は夢の中で鹿として出会った男女を描いたラブストーリー、
方やカニバリズムに目覚める少女を描いたダークな青春映画です。
相当にふり幅の大きい二作品に見えますが、どちらもファンタジックな設定を通すことで、
私たちが日常で感じる心の痛みと変容をリアルに描くユニークな作品です。
ヨーロッパの名匠と新進気鋭の若手監督が描く不思議な愛の物語をお楽しみください。

心と体と
Testről és lélekről
(2017年 ハンガリー 116分 DCP PG12 シネスコ) pic 2018年8月4日から8月10日まで上映
■監督・脚本 イルディコー・エニェディ
■撮影 マーテー・ヘルバイ
■編集 カーロイ・サライ
■音楽 アーダーム・バラージュ

■出演 アレクサンドラ・ボルベーイ/ゲーザ・モルチャーニ/レーカ・テンキ/エルヴィン・ナジ

■2017年ベルリン国際映画祭金熊賞、国際批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、ベルリナー・モルゲンポスト読者賞受賞/アカデミー賞外国語映画賞ノミネート/ヨーロッパ映画賞最優秀女優賞 ほか多数受賞・ノミネート

2017© INFORG - M&M FILM

夢の中、駆けめぐる

pic ハンガリー、ブダペスト郊外の食肉処理場。代理職員として働くマーリアはコミュニケーションが苦手で職場になじめない。片手が不自由な上司のエンドレは彼女を気に掛けるが、うまく噛み合わず…。そんなある日、牛用の交尾薬が盗まれる事件が発生する。犯人を割り出すため、全従業員が精神分析医のカウンセリングを受ける事態に。するとマーリアとエンドレが同じ夢を共有していたことが明らかになる。二人は夢の中で“鹿”として出会い、交流していたのだ。奇妙な一致に驚く二人は、それをきっかけに急接近するが…。

ベルリン国際映画祭金熊賞受賞!
東欧の鬼才、18年間のブランクから鮮やかに復活
幻想と現実が交錯する不思議なラブストーリー

pic本作は不思議なことに鹿として出会うという同じ夢を見ていた男女の恋の物語です。一見すると荒唐無稽で、素敵な恋をしたいという程度の願望を満足させるだけの設定に思えるかもしれません。しかし作品を観れば、現代人の抱えるリアルな痛みに向き合おうとする監督や俳優たちの繊細な眼差しに心打たれると思います。

pic たしかに起こる事象は奇跡かもしれませんが、その奇跡は容易にふたりを結び付けてくれるわけではなく、不器用な主人公男女はその奇跡を足がかりにして何とか距離をつめ愛し合おうとするのです。その切実な姿の中に、誰もが多かれ少なかれ自分自身の姿を見出すと思います。ハンガリーの名匠が贈る、真摯に今を生きようとする全ての人々への優しいエールのような、美しい現代のおとぎ話です。

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RAW ~少女のめざめ~
GRAVE
(2016年 フランス/ベルギー 98分 DCP R15+ シネスコ)
pic 2018年8月4日から8月10日まで上映
■監督・脚本 ジュリア・デュクルノー
■撮影 ルーベン・インペンス
■編集 ジャン=クリストフ・ブージィ
■音楽 ジム・ウィリアムズ

■出演  ギャランス・マリリエ/エラ・ルンプフ/ラバ・ナイト・ウフェラ/ローラン・リュカ

■2016年カンヌ国際映画祭批評家連盟賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート

© 2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED.
© Dominique Houcmant Goldo

知ってしまった味(タブー)――。

pic16歳のべジタリアン、ジュスティーヌは、両親と姉と同じ獣医科大学に入学する。初めて親元を離れて、見知らぬ新しい環境である大学の寮で暮らし、生活する不安に駆られる彼女。寮に向かいルームメイトと対面するが、女性との相部屋を希望したはずなのに、そこにいたのはアドリアンという男性。「俺はゲイだから」と言われてもなんの慰めにもならない。

さらに追い討ちをかけるように、上級生による新入生歓迎のハードコアな儀式としごきが突然始まり、生肉を食べることを強要される。人生で初めて肉を口にした彼女はその行為によって本性が露わになり、次第に変貌をとげていく…。

フランスの新星
ジュリア・デュクルノー監督の衝撃の長編デビュー作!
世界が震撼した、究極の愛の物語

pic 物議をかもす題材を扱った『RAW ~少女のめざめ~』は、主人公があるきっかけから一般常識を大きく逸脱していくのを止められない展開が衝撃的な作品です。しかし青春時代に訪れる肉体や欲望の変容と、それをコントロールできない自分をグロテスクに思う感情は、彼女だけの特殊なものではないと思います。

彼女の姿を観ているうちにいつの間にか私たち観客ひとりひとりの青春時代が照らし出されていくのです。本作は衝撃的な題材を扱ってはいますが、にも関わらず誰もが覚えのある感情を扱った普遍的な青春映画にもなっている点が新鮮です。『キャリー』やクローネンバーグの諸作品のように、ホラーの要素を通すことで描ける人間像を私たちに突き付ける、挑発的で刺激的な問題作です。
(ルー)

line 青いパパイヤの香り
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