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picあー、もう暑い!海行きたーい!しかも、広大で深海的な海行きたーい!ついでにその後、落ち着いた田舎でのんびりしたーい!しかも、アジア圏内の山に囲まれた田舎がいい!でも、こっからじゃ海も山も遠いし、めんどくさいな〜。あ〜あ、どっかにいいとこないかな〜。

そんな方にウッテツケのプログラムをご用意しました。

スキューバダイビングでもしているかのような神秘の映像体験『オーシャンズ』と、田舎でのんびり自然を満喫しながら農業体験『牛の鈴音』のドキュメンタリー話題作2本立てです!

ドキュメンタリーブームとも言える昨今の中でも、際立っているのがこの2本。『オーシャンズ』はドキュメンタリー史上最高の製作費70億円を投じ、構想10年、撮影期間4年、世界50ヵ国、撮影70回という前代未聞の一大プロジェクト映画!

というかこれはドキュメンタリーの域を超えた全く新しい映画ジャンルなのかも。まるでハリウッドのアクション映画でも観ているかのような迫力ある映像と、CGで作られたような生物たちがカメラ前で計算的に戯れる姿はフィクションとも思えるほどの完成度の高い出来栄え。その青く無限の世界に呑み込まれた私たちはただただ圧倒されるばかりです。

しかし、そうした映像を捉えるためにはもちろん見えない所で想像もできない苦労があるのでしょう。この映画のため新たに開発された撮影システムの数々、そして死と隣り合わせの現場など。本当に監督、スタッフ皆様のご苦労をお察し致します。

どうしてこれ程までに人は「海」に惹かれるんですかね?
う〜ん、その答えは『オーシャンズ』の中にあるのかもしれないです。

そして、もう一作品はドキュメンタリーとして韓国映画史上かつてない程の記録を叩き出し、多くの映画祭で受賞し話題となった『牛の鈴音』です!こちらは『オーシャンズ』とはうって変わり、韓国の片田舎で農業をして暮らすお爺さんと牛の日常を捉えたドキュメンタリー。映画的な大掛かりの撮影や演出はなく、ただ淡々とお爺さんを牛の毎日を紡ぐように描き出した渾身の感動作です。

そういった意味で『オーシャンズ』が正のドキュメンタリーなら『牛の鈴音』は負のドキュメンタリーと言えるかもしれませんね。色々と足していく映画ではなく、お爺さんと牛の生活のように何もなく、余計なものは省いている映画と言えるでしょう。

その演出も音楽もないのどかな手法は見事に成功し、観ている私たちにお爺さんたちの生活を凄く身近に感じさせ、温もりが肌に直接伝わってくるような効果を生んでいるんですよね。これは本当に忙しい毎日を送る皆さんには絶対に観て欲しい作品です!物に溢れ、時間に追われる現代を生きる私たちが見落としがちな大切なものがこの映画には詰まってます。けれども、決してこの映画はメッセージを投げかけようとも、私たちが抱える不安にも答えてくれようともしません。ただお爺さんと牛の毎日が繰り返されていくのです。しかし、それこそが道筋や目的を決めないドキュメンタリー本来の姿であり、韓国の田舎で暮らす老夫婦と牛の<色々ない生活>にはぴったりの、「色々ない映画」の結果オーライの姿なのかもしれません。

〈ローラ〉


オーシャンズ
OCEANS
(2009年 フランス 103分 シネスコ/SRD) 2010年7月17日から7月23日まで上映  ■監督  ジャック・ペラン/ジャック・クルーゾ
■製作  ジャック・ペラン/ クリストフ・バラティエ
■音楽  ブリュノ・クーレ

■ナビゲーター 宮沢りえ

さあ、未体験の感動を約束する
命の飛ぶ空へ乗り出そう。

pic「海とは――」このプロジェクトはそんな途方もない問いかけに答えるための人類の挑戦であり、“海”という名の大いなる生命体の知られざる奇跡と、そこに息づく驚異の生物たちに出会う為の時空を超えた旅である。

監督は、前作『WATARIDORI』で飛行する鳥に並走して撮影するという斬新なスタイルを確立したジャック・ペラン。最高のスタッフと最新の技術を集結し、本作のために開発された世界初の各種テクノロジーに支えられ、前人未到の大迫力の映像を捉えることに成功した。

pic回転しながら波間を切り裂くハンドウイルカの大群、強大な吸引力でそこに存在するすべてを飲みこまんとするザトウクジラの捕食、しわくちゃの赤ちゃんを前足で抱くアゴヒゲアザラシの愛情、スクリーン一杯にひろがる5万匹のクモガニの交尾、凶暴なエネルギーを自在に操り船や港を襲う巨大な波、海底の暗闇の中で太古の形状のままで躍動する海獣たち…。

想像を超えた驚きに押され、その臨場感・躍動感に呑まれ、いつしか私たちはスクリーンへと泳ぎだし、そこに住まう生物たちと地球を故郷とするものとして共鳴していく。


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牛の鈴音
OLD PARTNER
(2008年 韓国 78分 ビスタ/SRD) 2010年7月17日から7月23日まで上映
■監督・脚本・編集  イ・チュンニョル

老いた農夫と一頭の牛の映画が、
韓国映画界に奇跡をおこした。
「牛の鈴症候群」とまで称された感動のドキュメンタリー!

pic79歳になる農夫のチェ爺さんには、30年間もともに働いてきた牛がいる。牛の寿命は15年ほどといわれるのに、この牛は40年も生きている。今では誰もが耕作機械を使うのに、頑固なお爺さんは牛と働く。牛が食べる草のために畑に農薬をまくこともしない。そんなお爺さんに長年連れ添ってきたお婆さんは不平不満がつきない。しかし、ある日、かかりつけの獣医が「この牛は今年の冬を越すことはできないだろう」と告げる…。

 pic『牛の鈴音』は、失われていくもの、消えていくものへの哀切の感情を呼び起こす。普通は15年しか生きない牛が40年も生きた。それは、お爺さんとの絆がなしえた奇跡なのだろうか。お爺さんとお婆さんが同じ日常を繰り返し、60年以上も連れ添っていることも、現代から見れば奇跡かもしれない。彼らの命の営みは、切なさを越えた深い感動を観客にもたらすだろう。

「ないこと」、「遅いこと」が、こんなにも美しく温かい。
本国韓国ですべての記録を塗り替えた大ヒット作!

picこの映画は、主人公のお爺さんの農業のように、「ない」ものが多い。韓国ドキュメンタリーの定番であるナレーションがない。大きな事件もおこらない。政治的メッセージもない。美しく格好いい若者もでてこない。描かれるのは、腰の曲がった老人二人と一頭の牛のみである。市販の飼料を使わず夜明けから牛のエサを刻む。機械を使わず牛に引かせて畑を耕す。牛が食べる草のために農薬は使わない。お爺さんの農業は効率重視の現代のまったく対極にある。よろよろとした足取りで荷車をひく老いぼれ牛の動きのように、すべてはゆっくりとしている。

これが第1作となるイ・チュンニョル監督が、3年余りの月日をかけて完成させたドキュメンタリーが韓国映画界に奇跡をおこした。2009年1月15日にアート作品専門の7館で封切られると、口コミによって観客が押しかけ、またたく間に全国150館に拡大。公開37日目に動員100万人を突破すると、わずか9日後には200万人突破。公開7週目、8週目には大手メジャー作品を抑えて2週連続興行成績ベスト1を獲得。“なぜこの静かな映画が、これほどの大ヒットになったのか”と数々のメディアに取り上げられ、「牛の鈴症候群」と呼ばれる社会現象までまきおこした、2009年韓国映画界最大の話題作!(――プレスより引用。)



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