roppic この長篇アニメ映画の目的は、我々が子供の時に遊んだ即興のゲームの助けを借りて、想像力を呼び覚ますことにある。 ――イジー・バルタ

監督プロフィール

イジー・バルタ
1948年チェコのプラハ生まれ。
プラハ工芸美術大学・映画テレビグラフィック科を卒業後、アニメ映画に従事。
チェコ人形アニメの創始者であるイジー・トルンカやポヤルの精神を受け継ぎながらも、
常に新しい事へのチャレンジし、現代の人形アニメ界を牽引する。
チェコのみならず、世界のアニメ映画界において欠く事のできない人物。

(主な作品紹介)
『手袋の失われた世界』(1982年)受賞:オーバーハウゼン映画祭ほか
『笛吹き男』(1985年)受賞:シカゴ映画祭ほか
『最後の盗み』(1987年)受賞:シカゴ映画祭ほか
『見捨てられたクラブ』(1989年)受賞:オーバーハウゼン映画祭ほか

“チェコ人形アニメ最後の巨匠"と呼ばれているイジー・バルタ。
その言葉の通り、今回挑んだ最新作「屋根裏のポムネンカ」には、
アイデアとユーモアがこれでもかというくらい詰まっている。

そのクオリティは驚くほど高く、山、川、雨、崖、槍、家、船、飛行機などの
表現手法には思わず舌を巻いてしまう。

屋根裏で繰り広げられるおもちゃ達のドタバタ劇は、子供から大人までしっかり楽しむことができ、
ストップモーションならではのリズム感に癒されながら、あっという間に時間が過ぎてしまうだろう。
しかし、そんなガラクタたちの世界に愛しさを覚えつつも、
結果的に悪党・フラヴァのビジュアルに釘付けになってしまった私でした。

「チェコアニメ短編セレクション」では、早稲田松竹がオススメする5作品をご用意!
個人的には「けしのみ太郎」がお気に入りです。
そのアナクロ感たっぷりの映像と、ゆるすぎるストーリー展開にまんまとハマってしまいました。
太郎の出生の秘密が収録されてるDVDも気になるところです。。

アニメ業界の中でも異彩を放ち続けるチェコアニメ―ション。
間の抜けた可愛らしい登場人物とは裏腹に挟み込まれる巧みな心理描写。
一度見たらクセになること間違いなし!

屋根裏のポムネンカ
IN THE ATTIK

(2009年 チェコ・スロヴァキア 75分 ビスタ/SRD)

2009年11月28日から12月4日まで上映 ■監督・脚本・美術 イジー・バルタ
■脚本 エドガル・ドゥトカ

■声の出演 ルツィエ・ペルメトヴァー/ボリス・ヒブネル/ウラジミール・ヤヴォルスキー/イヴァン・トロヤン
■出演 イジー・ラーブス

シーツの波をかきわけて、タンスの崖をよじ登り
クッションの雲を越えて、キミに会いにいく。

ぼろぼろの屋根裏。使われなくなった古いトランクの中に、心のあったかい不思議なおもちゃたちが暮らしていました。帽子が大好きな青い目のお人形・ポムネンカは屋根裏の人気者。仲間たちは、彼女が作る花火付きのケーキを毎朝、心待ちにしています。

ある日、屋根裏の果てに住む悪の親玉・フラヴァにさらわれてしまったポムネンカ。彼女を助けるために立ち上がったのは、鼻が鉛筆で耳はボタン、体中ガラクタでできたシュブルト。正義感いっぱいのマリオネットのクラソン。そして、どんな危機が迫っても眠気と食欲はいつも顕在、くまのぬいぐるみのムハ。彼らはポムネンカを助けるため、屋根裏のまだ見ぬ世界へと旅立ちます。

屋根裏の外に出されてしまったシュブルトが奮闘する中、クラソンとムハは衣装ダンスから溢れるシーツの洪水に巻き込まれながらもなんとか脱出し、家具の山をよじ登ります。また、ネズミのDJ・キュリーもラジオで屋根裏中の仲間を集め、発明した飛行機を操縦し、それぞれ屋根裏の果てにある、悪の帝国へと乗り込んで行きます。果たしてポムネンカと仲間たちは、無事再会できるのでしょうか。

“チェコ人形アニメ最後の巨匠”=イジー・バルタ最新作
屋根裏のガラクタたちが繰り広げる、不思議なファンタジー!

65年の伝統を誇り、豊かな表現力と芸術性の高さから、世界各国で圧倒的な評価を受けてきた、チェコ人形アニメーション。2009年、チェコから届いた待望の長編最新作は、屋根裏に住んでいる、人間に忘れられたガラクタたちの世界!

監督・脚本・美術を手掛けたのは、イジー・バルタ。アニメーション史に名を残すイジー・トルンカ、ブジェチスラフ・ポヤル、ヤン・シュヴァンクマイエルの魂を受け継ぎ、その画期的なアイデアと職人的な技術から世界の人形アニメ界を牽引する彼が、「誰もが想像力を刺激されるアニメーション」として、24年ぶりに本作を完成させました。

物語を彩るなんともかわいらしい旅の仲間たちは、プラハの街を回ってバルタたちが集めたアンティークの小物や古道具から生まれました。そして、たまたま洗濯物を干しにやって来る人間のおばあさんと女の子、悪賢い黒猫や奇妙な昆虫のドクターなど、悪玉フラヴァのユーモアたっぷりな部下たち…。屋根裏の世界をかき回す彼らも、バルタのあふれるアイデアから生み出された、必見のキャラクターです。


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チェコアニメ短編セレクション
(1957年〜1982年 チェコスロヴァキア 計66分 スタンダード/MONO)

2009年11月28日から12月4日まで上映

・『リトル・アンブレラ』
・『ネコのお絵描き』
・『けしのみ太郎 病気ってどうやってなおすの?』
・『イモムシくんは大スター』
・『りんごのお姫様』(計5作品)

アニメーションの歴史深い“アニメの聖地”、チェコ。
チェコで生まれた短編アニメーションの名作のなかから、
早稲田松竹がセレクトした5作品を上映します。
古いものは1957年から、近年のものでは1982年まで。
形態は人形劇をはじめ、アニメーション、
アニメと実写の混合など、 実に様々なタイプの作品たちです。
20分未満の小さな作品だけれど、
そのなかに詰まった魅力は最大級!
かわいくて、素朴で、ちょっぴりチクリとする、
この魅惑の世界をお楽しみください。


『リトル・アンブレラ』(1957年 チェコスロヴァキア 16分)
 Paraplicko

■監督 ブジェチスラフ・ポヤル(『ぼくらと遊ぼう!』)
■美術 イジー・トルンカ(『金の魚』)

巨匠ブジェチスラフ・ポヤル×イジー・トルンカのコンビが描く、真夜中のおもちゃのパーティー。シャボン玉のダンス、積み木の組み体操…。多彩なテクニックによる、人形たちのめくるめく曲芸に注目です。

◆◆◆

『ネコのお絵描き』(1960年 チェコスロヴァキア 13分)
 Malovani pro kocku

■監督 ブジェチスラフ・ポヤル
■美術 ミロスラフ・シュチェパーネク(『ぼくらと遊ぼう!』)

ポヤル&シュチェパーネク、黄金コンビによるネコシリーズ第2話。水彩タッチの線描ネコと実写キャラの役者が競演する、自由きままな共同生活。 画家のホンザが映画に出かけてしまった後、色とりどりの絵の具で、食べたいものを描く2匹のネコ。この水彩タッチの素朴なネコが、とにかくいたずらし放題!

◆◆◆

『けしのみ太郎 病気ってどうやってなおすの?』(1982年 チェコスロヴァキア 7分)
 Ako Makovy muzicek o chorel

■監督 リブシェ・パレチコヴァー(『ちびとらちゃん』)
■美術 ヨゼフ・パレチェク(『ちびとらちゃん』)

病気になってしまったけしのみ太郎を、不思議な方法で治療するおじいさんとおばあさん。“色彩の魔術師”ヨゼフ・パレチェクの包み込むような色彩マジックに癒されます。

◆◆◆

『イモムシくんは大スター』(1967年 チェコスロヴァキア 16分)
 Sametka

■監督 ズデネック・ミレル(『クルテク』)

男の子のハーモニカに合わせてダンスをするイモムシくん。一躍注目を浴びてトップスターになりますが…。監督は『クルテク』でおなじみの、ズデネック・ミレル。かわいいイモムシくんが、踊ったり怒ったりする姿がとてもキュート!ミレルの描く鮮やかな色彩も素敵です。

◆◆◆

『りんごのお姫様』(1973年 チェコスロヴァキア 14分)
 Jablonova panna

■監督 ブジチェスラフ・ポヤル
■美術 ミロスラフ・シュチェパーネク

りんごの実から生まれたお姫様と、りんごのお姫様に一目ぼれした王子様の恋物語。邪悪な魔女の野望に翻弄される王子の苦悩、危険を恐れずに魔女に立ち向かおうとする姫の一途さ…。お話のもととなっているのは、カレル・ヤロミール・エルベンの民話。果たして王子と姫は、魔女に打ち勝つことができるのでしょうか。チェコ人形アニメの技術と愛が詰まった、珠玉の一作です。


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